国沢光宏のホットコラム

2020 クルマ&バイク情報

Vol.197「低燃費タイヤの仕組みと進化について」

あまり認識されていないことながら、直近の数年でタイヤ性能は大きく進化した。顕著なのが、いわゆる低燃費タイヤの性能向上です。最新の低燃費タイヤ、雨の日のグリップ性能でいえば10年前の「雨に強いタイヤ」のレベルだし、ドライ路面の絶対的なグリップレベルも一世代前の高性能タイヤに肉薄するほどになってます。詳しく紹介したい。

長い間、燃費を改善させるための「低転がりタイヤ」に使われていた技術を見ると、文字通り「路面とタイヤゴムの抵抗を減らす」ことに注力していた。極端に転がり抵抗が少ない鉄の車輪を使う鉄道のように、硬くて変形の少ないゴムタイヤの構造です。

当然ながら「摩擦係数」を減らそうとしているため、雨の日などグリップ性能が大きく低下してしまう。黎明期の低燃費タイヤで雨の首都高など走ろうものなら、コーナーで極端にスピードダウンしなければならなかったほど。そんなことからベテラン世代だと「低燃費タイヤは怖い」というイメージを今でも持っていることだろう。

状況が大きく変わってきたのは2代目プリウスのデビューから。ハイブリット車の場合、タイヤの転がり抵抗で燃費に大きな影響が出てしまう。純正装着(グッドイヤー製)だと22km/L走る。けれど普通の銘柄に交換したら20km/Lを割ってしまった、というケースも多くなってきた。こうなるとタイヤメーカーだって座視していられない。

ブルーアースGT

ブルーアースGT装着

もちろん国産の低燃費タイヤは存在したけれど、前述の通り雨が降ったら怖いし、タイヤの構造までプラスティックのように硬くしたため乗り心地も路面からのツキ上げが厳しくなってしまう。そんな状況を受け、日本のタイヤメーカーも真剣に転がり抵抗を少なくした上で、乗り心地もグリップ性能も引き上げるべく開発をすすめていく。

結果、出てきたのが従来の“硬さ”を追求する技術ではなく、むしろ柔らかい構造。例えばタイヤの横面(サイドウォールと呼ばれます)を硬くしていくと、自転車のタイヤの空気をパンパンにした効果と同じく転がり抵抗は減るが、サイドウォールを薄くして“たわむ”時の抵抗を減少させることで、同じような効果になると判明。

また、路面と接地する「トレッド」のゴムも構造や素材を大幅に見直すことにより、物理&化学的に転がり抵抗を減らしながらグリップ力を改善させることが出来た。こういった新しい構造の低燃費タイヤは、10年くらい前に登場し急速に進化しています。今や新しい技術を投入して開発された低燃費タイヤが最もバランスが良いと思えるほど。

最近「いいね!」と感じたヨコハマの『ブルーアースGT』というタイヤは、文字通りGT車用のタイヤとしての舗装路性能を持ちながら、優れた低燃費タイヤとして使え、さらに濡れた路面でのグリップ力は全てのタイヤの中でも最高レベル。ECOカーだけでなくミニバンから輸入車まで、クルマ通に自信を持ってすすめられます。

ブリヂストンの『エコピア0001S』は超低転がりタイヤでありながら、これまた濡れた路面での性能が素晴らしい!このところ新興国製の格安タイヤも売れ始めているけれど、低燃費性能や濡れた路面での安心感とシャッキリした乗り味を全て満たそうとすれば、やはり日本や欧米ブランドの自信作を選ぶことをすすめておきます。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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