国沢光宏のホットコラム

2019 クルマ&バイク情報

Vol.182「SUVの魅力」

「トヨタRAV4」

このところ好調な売れ行きを見せているのが乗用車より背の高いSUVである。トヨタの新型RAV4は発売後1ヶ月時点の受注が2万4千台に達し、計画の8倍だという。ボルボXC40なども1年以上のバックオーダーを抱えている。一昔前まで「四駆」などと呼ばれていたジャンルながら、今や動力性能や燃費、乗り心地などの点で大きく進化した。

どういった“面白さ”を持つのか紹介してみよう。まずは「大きくて存在感のあるボディ」だと思う。RAV4のスターティングプライスを見ると、2000ccエンジン搭載の4WD仕様で283万5千円(FF車なら260万8200円)。豪華装備でこそないものの、自動ブレーキやサイド&カーテンエアバッグなど必要な装備は全て標準だから割安感がある。

「どんな路面状況にも対応出来る」という点も大きな魅力だろう。日本には「荒野」こそ存在しないけれど、アクティブな休日を過ごそうとしたら山奥の温泉や、オートキャンプ場、釣り場などなど、普通の乗用車だと少しばかり不安な路面も多い。最低地上高(路面から車体までの距離)の高いSUVであり、しかも4WDなら鬼に金棒だ。

都市部だって車高が低いと駐車場のクルマ止めがバンパーに当たらないか気になってしまう。最低地上高が180mm以上あるSUVであれば大型のクルマ止めや、コインパーキング、歩道との段差の大きいガソリンスタンドやコンビニすら全く気にならない。キャッツアイのある道路を右折することも余裕。

使い勝手はステーションワゴンに限りなく近い。大半のSUVで後席を左右別個に畳める。両方倒せば広大なラゲッジスペースとなるため、ホームセンターなどで大きな買い物をしたって大丈夫。また、着座位置が乗用車より高く見通しが良いというメリットの他、乗り降りで低い位置まで腰を落とさないで済むのは有り難い。

「ボルボXC」

今までSUVの弱点だった燃費も大幅に良くなってきた。新型RAV4であればハイブリッドを選び、実際に計測してみると15~18km/Lくらい走った。輸入車やマツダ車には燃料コストが低いディーゼルエンジンもラインアップされており、ボルボXC60のような大柄なモデルですら計測してみると13~16km/Lといった数字(加えて軽油はガソリンより安価)であった。

今やSUVは各社にとって基幹車種。安全装備も普通のクルマと全く変わらない。新型RAV4やマツダのCXシリーズ、ボルボXCシリーズ、BMWのX3&X5などに採用されている自動ブレーキときたら世界TOP水準。追突事故防止効果だけで無く、今まで技術的に難しかった夜間の歩行者を検知して停止することまで出来るようになった。

最後がリセールバリューだ。中古車市場で人気の高いSUVは、査定してもらうと高い値を付けてくれる。たっぷり遊んだ上、手放す時も有利な条件を付けてくれるというのだから素晴らしい。ということで「そろそろクルマを乗り換えたいと思っている」のなら、ぜひともSUVをショッピングリストに載せてみてはいかがか?

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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