国沢光宏のホットコラム

2011 メンテナンス情報

Vol.91「オーバーヒートの対処法」

ここにきて1台のクルマに長く乗る傾向が強くなってきている。8年/10万kmくらいならノートラブルで当たり前の日本車ながら、それ以上になってくるとメンテナンスが必要。例えばタイミングベルトや、冷却水を循環させるウォーターポンプなどは、10万kmを目安に交換したい。オーバーヒートも増え始めているという。前述のウォーターポンプ故障や、電動ファンスイッチの不良などを起こすと簡単に水温が上がってしまう。

冷却水のパイプの漏れをチェック

一方、この20年くらい日本車はオーバーヒートと無縁に近かった。対応方法を知らないドライバーも多い。以下、冷却系に対する基本知識など。走行中、エンジンコーションランプなどで水温上昇を感知したら(水温計に警告灯が点くタイプもある)、とりあえず安全な場所にクルマを止め車外に出る。高速道路なら絶対路肩に止めず、速度を抑えSAやPA、出口まで移動すること。クルマに対する知識がない場合、その場でJAFなど呼ぶしかない。

このWebを読んでいるような人であれば、ボンネットを開け、修理工場まで動かせるかどうか確認をしたらいいと思う。まず冷却水が沸騰して湯気など出ているなら、エンジンを掛けた状態で水をラジエターに掛けてやろう。ラジエターを冷やせば基本的にエンジンは冷える。

よく慌ててラジエターキャップを外そうとする人がいる。これ、絶対的な禁じ手。外した途端、爆発的に沸騰して熱湯噴き出す。大やけどする人だっているほど。ラジエターがグラグラ湧いていても、ひたすら水を掛けるしかない。水を調達出来ない時は、エンジンを止めて冷えるのを待つのみ。

その際、冷却水を循環させるパイプを確認して欲しい。10年以上使ったクルマだとパイプが割れたり、外れたりしていることも少なくない。トラブルの原因になっていれば外れた場所から湯気など出ているだろう。激しく損傷していたら走行不能。軽微な漏れなら、繋ぐという応急処置も可能。

ラジエターキャップは冷えた状態で開けましょう

冷却ファンが回っているかどうかもチェックしておきたい。回っていなければオーバーヒートの原因になっていると考えていいだろう。知識と工具さえあれば配線を直結するなどファンを強制的に回す方法はあるものの、やはりJAFなどを呼んで対処してもらうしかありません。

もし修理工場や自宅や目的地が短いので動かしたい、というなら、十分冷えた状態でラジエターキャップや、リザーバータンク(ラジエターキャップが付いていないクルマもある)を開け水を足す。その状態で水温計を注視しながらユックリ走ってみよう。水温が上限になるまで走れる。

ヒーターレバーは最も熱くなるように設定し、ファンを最強にしておくと良い。ヒーター用のお湯はエンジンから循環しており、そこにファンで風を当てることによりラジエターの能力を若干ながら増やすことが出来ます。重要なのは日頃のメンテナンス。多走行車はディーラーでの点検をおすすめしたい。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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