国沢光宏のホットコラム

2020 クルマ&バイク情報

Vol.196「直射日光によるトラブルと対策」

梅雨明けと同時にやってくるのがパワフルな太陽です。直射日光を受けた際、大きな問題になるのは「熱」と「紫外線」。どちらもクルマの塗装やインテリアに大きなダメージを与える要因になります。夏を迎え、どういったことに気を付ければいいでしょうか?以下、簡単に対応できること&ノウハウを紹介したいと思います。

まず「熱」。夏場の直射日光は強力。ボディ外板についていえば、濃色カラーだと卵が固まるような温度になるし、室内も素肌で触ると火傷するレベルまで上がります。ただ自動車メーカーは外気温50度近くになるような砂漠地帯まで想定した入念な耐久試験を行っているため、熱が原因でトラブルを起こすようなことはありません。

ただ自動車メーカーが想定していないような「モノ」を載せておくと危険。一番事故に結びつき易いのは水分の入っているペットボトルです。中でも円筒形で透明な水の入っているミネラルウォーターのボトルに注意して頂きたいと思います。シートの上に寝かせて放置しておくと、水が凸レンズ効果になり火災の原因になる。

また、スマートフォンやタブレットなど液晶付きの機器を車内に置いておくと、間違いなくトラブルの原因になると思ってください。クルマに採用されているナビなどの液晶は、高温になることを前提にしたクルマ用として開発された専用スペックになってます。タブレットをナビとして使っているような場合、熱くならないところに移動させること。

皆さん案外見逃すのが木陰への駐車。というか日陰になるからと、駐車位置として好んで選ぶ人も少なくないようですが、樹木によっては樹液を落とす。樹液は粘性を持っており、水玉形状になる。これも凸レンズです。直射日光に耐える塗装も、凸レンズには耐えられない。結果、塗装にムラを作ったり特にレッド系のボディなどは変色の要因になってしまう。

二つ目は紫外線。合わせガラスになっているフロントガラスについて言えば、たいていの車種が99%近いUVカット性能を持つ。したがってフロントから入ってくる紫外線についての心配は不要。一方、ドアとリアのガラスを見ると、UVカット表示でも良くて50%くらいの効果しか持たない。紫外線の半分くらいが車内に入ってきてしまう。

長いスパンで考えると紫外線はインテリアを傷める。南に向けて駐車するような時はフロントガラスから最も強い日射を受けるが、それ以外の向きに止めると、リアやドアガラスから紫外線の強い日差しを受けてしまう。といったケースは、オーソドックスながらサンシェードが有効である。フロントガラスのサンシェードは使っている方が多いでしょう。

けれどクルマへのダメージということではドア側とリアが多く影響を受ける。南向き以外で屋外駐車しているようなクルマなら、お日様に当たる側の窓にもサンシェードを付けておくと良い。もちろんフロントのサンシェードも車内温度の上昇を抑えるという点で効果大。理想を言えば、日が当たる側の窓の全てに吸盤式の簡易タイプで良いのでサンシェードの装着をすすめます。

  • 車内に置いたペットボトル

  • ドアガラスのUVカット表示

  • ドア、リアガラスのUVカット率を計測

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

PAGE TOP