国沢光宏のホットコラム

2019 クルマ&バイク情報

Vol.189「2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤー」

2019~2020年のCOTY(カー・オブ・ザ・イヤー)はトヨタRAV4に決まった。最 近の人気&売れ筋を反映しているのだろう。昨年がボルボXC40。その前もボルボ XC60と、3年連続でSUVということに。今回で40回目を迎えるCOTYながら、過去のSUV受賞車は32回目のマツダCX-5のみ。改めてCOTYを考えてみたい。

日本カー・オブ・ザ・イヤーの様子

まずCOTYの選考委員だけれど、自動車メディア関係のジャーナリストを中心に、演出家のテリー伊藤さんや、音楽プロデューサーである松任谷正隆さんなど、異業界ながらクルマに対する深い知識のある人など60人。選考委員はメディア35社からなる実行委員会で選ばれる。私も第10回から選考委員をやらせてもらってます。

興味深いことに様々な立場&考え方の選考委員が60人も揃うと、偏ったり忖度したクルマ選びにはならない。例えば日本の自動車業界で圧倒的なシェアを持つトヨタながら、意外なことにRAV4の受賞は第30回のプリウス以来10年振り!販売台数の少ないボルボの2年連続受賞も、本当にクルマの仕上がりが良かったからである。

トヨタ RAV4

RAV4の受賞理由を端的にまとめると、最新の技術やニーズが全て詰まっているということになると思う。前述の通り今やSUVはクルマの中心的なジャンルになった。その上でRAV4の場合、世界TOPクラスの安全性能(自動ブレーキは夜間の歩行者まで検知する)を持ち、世界有数のコネクテッド能力も標準装備する。

コネクテッドを具体的に紹介すると、エアバッグが開くほど大きい事故に遭遇をしたとしよう。クルマは通信センターと常時繋がっているため、エアバッグの展開と同時に異常事態発生を知らせる。車体が受けた衝撃まで解ります。通信センターは直ちに車両へ呼びかけると同時に、受けた衝撃の大きさ次第でドクターヘリの準備も行う。

ドライバーが通信センターの呼びかけに応じれば適切な手配を行い、応じない場合、直ちに緊急救援体制を取ってくれます。その他、車両トラブルなど様々な事態でコネクテッドは役に立つ。遠からず1km先の道路状況も解るようになるだろう。気付いたら道が凍っていた、などという怖い体験もしなくて済むようになります。

BMW『3シリーズ』セダン

クルマとしての性能も素晴らしい。ハイブリッド車を選ぶと普通に走って20km/Lくらいの省燃費モデルでいながら、アクセル踏めば相当スポーティな動力性能を持つ。2000ccのベーシックエンジン車は、コネクテッドまで標準装備して265万6千円から買えるリーズナブルな価格設定とした。やはり良くて安くないと評価しにくい。

2019~2020年に発売された輸入車の中で最も優れているインポートCOTYはBMW の3シリーズが選ばれた。このクルマも世界最先端の自動ブレーキに代表される運転支援技術を採用している。業界の流れを見ると、環境技術と安全技術の進化に向かっています。遠からず地球や人間にダメージを与えないクルマになっていくと思う。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

PAGE TOP