国沢光宏のホットコラム

2019 クルマ&バイク情報

Vol.188「タイヤが車に与える影響とタイヤの選び方」

クルマを持っていて最も悩むのはタイヤ交換かもしれない。例えばプリウス用のサイズ(195/65R15)だと安価な新興国製なら1本3500円くらいから入手可能。一方、ハイブリッド車の燃費性能を引き出すべく「走行抵抗の少ないタイヤ」など選べば1本1万4000円以上します。高性能タイヤというチョイスもある。

タイヤの認証工場を示す文字(FDはヨコハマタイヤ新城工場)

どういったタイヤにしようかとネットなどで調べても「納得の行く答え」は見つからないと思う。詳しい性能&データ比較をしている情報が一つも無いからだ。全て「個人の印象」。調査会社のデータも、ネット通販サイトの評価も、個人の印象の積み上げである。また、タイヤの場合「極端に悪い評価」は無く、さらに迷うことになってしまう。

なぜ極端に低い評価がないかといえば、タイヤは工場毎に認証を受けているためだ。つまり品質の悪いタイヤしか作れない工場であれば国際認証を取れず、販売出来ないようになっている(タイヤの横に必ず認証工場を示す2文字が入ってます)。またタイヤを組み立てる機械も基本的に世界共通。3500円の廉価タイヤだって問題無い。

オフロード用タイヤ

それなら3500円のタイヤを使うかと聞かれたら「いいえ」と即答します。もう少し正確に書けば、舗装の状況が良くない新興国に住んでいて、愛車は20年前の中古車。移動は半径20kmくらいという乗り方だと、3500円のタイヤを積極的に選ぶ。でも良質な舗装路を比較的新しいクルマで走るなら、やはり入念なタイヤ選びをする。

もう少し具体的に紹介したい。例えばプリウスのような燃費重視のハイブリッドカーだとしよう。タイヤに要求される性能は、空気をタップリ入れた自転車のように気持ち良く転がっていくことと、それでいて雨の日のグリップが良いこと、さらに静かで乗り心地が良ければ嬉しい。1万4000円級のタイヤなら全て満たしてくれるのだ。

輸入車やスポーティモデルのように、車体&足回りがシャッキリしたクルマに普通タイヤを履かせるとどうか。タイヤの剛性が低いと頼りないステアリングフィールになり、コーナリング性能を落とす。これまた少し高価になるが、高いグリップ性能と快適性を併せ持つタイヤメーカーのブランドイメージを代表するような銘柄を選びたい。

ハイブリットタイヤ

その他、車重のあるミニバンやSUVなども専用タイヤが望ましい。加えて騒音レベルと乗り心地はタイヤによって大きく異なる。前述のように静かなクルマを良質な舗装路で走らせると、タイヤ騒音が目立ってくる。静かなクルマほど、静かなタイヤを選びたい。乗り心地も同じ。グリップ性能を追求したタイヤはゴツゴツする傾向。

さらに安心/安全も考えたいところ。新興国のタイヤは最低基準を満たしているけれど、タイヤの残り山が半分になった時のウェットグリップや、ヒートチャンク(暑い日にバーストするなどのトラブル)といった様々な条件に対し実績が無い。タイヤは命を乗せているため、私なら保険だと思って実績のあるタイヤを選びます。

タイヤのサイズは外径とタイヤ幅が車検に合格出来ることを基準とし、その上でインチ(リムサイズ)と扁平率を変えられる。ネットで「タイヤサイズ互換」と検索すれば適用サイズが出てきます。タイヤ幅が広いほど乗り心地が硬くなる反面コーナリング性能が上がり、狭くなれば乗り心地良くなり、タイヤ価格も安くなる。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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