国沢光宏のホットコラム

Vol.181 「上海モーターショー2019」

 毎回のように規模が大きくなり展示内容も濃くなっている上海モーターショーだが、今年は名実共に世界一といえるレベルになった。実用航続距離で400kmを超える最新の電池を搭載した電気自動車など当たり前。自動運転技術も多くのメーカーが当然のようにアピールしている。以下、具体的なケースをいくつか紹介したいと思う。

「LYNK&COの展示車両」
「LYNK&COの展示車両」

 中国のメディアなど見ると、話題ベスト3は『LYNK&CO』と『NIO』そして『小鵬(シャオペン)』といったあたり。それぞれバックボーンが違うものの、日本でも有名な「三国志」に出てくるような気鋭の指導者の元、熱烈な支持者を集めている。上海モーターショーではじっくりクルマを見るどころか、プレスデイなのに写真を撮るのも難しいくらい賑わっていた。

 まず『LYNK&CO』だけれど、ボルボの親会社である吉利汽車(ジーリー)のブランドである。シャシーなどハード部分はボルボの兄弟だから、中国の地場資本の自動車メーカーで最も高い信頼性を持つ。その上で、中国の得意分野になりつつある「コネクテッド」(通信機能)も満載。なのに日米欧の同じクラスのモデルより20~30%も安い。

「NIOの展示車両」
「NIOの展示車両」

 『NIO』は「中国版のテスラ」とか「テスラキラー」と呼ばれている。電気自動車を得意としており、航続距離400km超えが当たり前。500馬力以上のモーターを搭載しているモデルもあり、性能だってテスラに負けていない。そればかりか、レースなどで技術を鍛えるなど、実戦にも積極的。

 『小鵬』も凄いポテンシャルを持つ。なにしろアリババ(筆頭株主はソフトバンク)などが出資しており、資金調達目標も2019年末で5000億円と言われている。工場の生産ラインは年間15万台規模と言われており、立ち上がりからスケールの大きさがハンパじゃない。上海モーターショーに出展されていたクルマのレベルは驚くほど高かった。

「小鵬の展示車両」
「小鵬の展示車両」

 なぜ新興メーカーなのに優れたクルマを作れるのだろうか?自動車関係者に聞くと口を揃えて「夢があるからだと思います」。実際、前述の3メーカーが展示していたシャシーなどを見ると、設計は日米欧の良い所取りである。マネしたのでなく、日米欧の自動車メーカーの技術者をヘッドハンティングしているそうだ。

 中国の自動車メーカーで働く日本人に聞くと皆さん「楽しい」と言う。欧米の自動車メーカーから来てる技術者も同じような雰囲気だという。そういった人達が集まれば、最初から日米欧レベルのクルマになることだろう。そして電池技術は中国が世界の先頭に出ようとしているし、自動運転の実証実験に必要な安全性の要求値が日米欧と違うため、やりやすい。遠からず中国は自動車技術の先頭に立つかもしれない。


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