国沢光宏のホットコラム

2018 メンテナンス情報

Vol.172「突然起こったトラブルの対処法」

高速道路でのクルマのトラブルは正しい知識を持っていないと危険に直結してしまう。以下、夏休みのドライブで発生しやすいケーススタディと、対応方法を考えてみたい。

<パンク>

新車であっても可能性があるのはパンクだ。走行中にパンクをすると真っ直ぐ走らなくなり、その段階で気付かなければタイヤからパタパタと音が出るようになっていく。さらに無理して走っていたら「パタパタ」から「バタバタ」と音は大きくなり、ハンドルを大きく取られる。

クルマを止める際、何かあった場合にガードレールの外側に逃げられないため橋の上では止まらないように

高速道路でパンクだと判断したら、
1) すぐハザードランプを点滅させ、ブレーキは掛けずアクセルを戻して減速し路肩で停止。
2) 後方の安全を確認し、発煙筒を持って車外へ。この時点で発煙筒を発火させ、三角表示板を出す。
3) もし同乗者が居たら、必ず路肩側のドアから降り、ガードレールの外側に出ること。
4) 三角表示板を停止した車両の50m程度手前に置く。そして発煙筒がまだ発火していれば、さらに20mくらい離れた場所に置いておく。これだけやっておけばある程度の安全性を確保出来る。
5) 素早くガードレールの外側へ出て、道路の管理会社に連絡しよう。絶対に本線上に停まってタイヤ交換等の作業をしてはいけません!唯一の例外がバス停などに辿り着いたようなケース。バスのジャマにならない場所に止め、自分で出来るならタイヤ交換や、サービスマニュアルでパンク修理剤の使い方をチェックしながら(スペアタイヤを積んでない車種も多い)作業しよう。

パンクした後しばらく走ってしまい、タイヤが触れないくらい熱くなっていたり、タイヤの形状が変わっていたら、パンク修理剤だと対応不可能。すぐ高速道路会社に連絡して指示をもらうこと。路上トラブルも引き受けるという損保会社と契約していれば、そちらに連絡して指示してもらってもOK。

<オーバーヒート>

走行中、ウォーターポンプなどが壊れたら、水温警告灯や、メーターパネルに警告灯が出る。気温の高い夏場だと、早ければ1分くらいで深刻な状況になることを覚悟して欲しい。アクセルを戻して減速し、後はパンクと全く同じ手順で高速道路会社に連絡すること。

<バッテリー上がり>

走行中、発電機のトラブルが発生すると、エンジンが掛かっていても発電しなくなる。最初はエアコンが止まり、2~3分後にエンジンも止まる。こうなるとパワステまで効かなくなり、突如ハンドルが動かなくなった感じに(強く操作すれば動く)。充電警告灯が点灯したら手順はパンクと同じで。

<燃料切れ>

夏場のドライブは渋滞に巻き込まれてしまうことも多い。燃料が3分の1を切ったら給油を心がけておくこと。次のスタンドに辿り着けるかどうか迷った時は、躊躇なく高速道路を降りる。高速道路で燃料切れによる停止をしたら、普通車の場合は反則金9千円+2点の道路交通法違反だ。

パンクを除いたトラブルはインパネにコーションランプが付く。赤いコーションランプが点灯したら、可及的速やかに安全な場所で停止。黄色であっても、減速&注意して走りサービスエリアやパーキングエリアに入り、サービスマニュアルで何のコーションなのか確認してください。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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