国沢光宏のホットコラム

Vol.11 添加剤のもつ効果

昔から「ガソリンでエンジンパワーの差は出る」と言われてきた。実際、ハイオクガソリンの広告を見ると「エンジン出力が最大15%向上!」とか「加速性が5%向上!」的なタイトルが並ぶ。果たして本当だろうか?

結論から書くと「本当」。限りなく市販車と同じエンジンを使うラリーカーのレギュレーションを見るとよく解る。WRCに代表されるラリーは、SSと呼ばれる競技区間と競技区間の間、公道を走って移動する特異なモータースポーツだ。したがって騒音規制や排気ガス規制も厳格。車検に適合しなければならず、競技中に抜き打ちで排気ガスの検査(車検場と同じように排気管にプローブを差し込んで計測)されることだってあるほど。エンジンパワーは『リストリクター』と呼ばれる”筒”で抑えられる。『グループNクラス』と呼ばれる写真のラリーカーについて言えば、直径わずか32ミリの筒から入ってくる空気しか吸えない。

こうすると、どんなメーカーのエンジンでも入ってくる絶対的な空気の量(酸素の量)が横並びになるため、ほとんど同じ最高出力になるという寸法。なみにノーマルのインプレッサのカタログ出力は280馬力あるものの、グループN用のリストリクターを装着したら250馬力程度になってしまう。ではリストリクターさえ付ければ、完全なイコールコンディションになるかというと、そんなことない。ガソリンによってパワーの差が出てくるのだ。

自動車メーカーのエンジン開発担当者に聞いてみると、280馬力の高性能車の場合、ガソリンのブランドにより最大20馬力程度のパワー差が出るそうな。ガソリンメーカーの宣伝文句である15%のパワーアップも大げさじゃない。ラリーを主催する組織も解っており、現在WRC(レースだとF1に相当する格式)は、シーズンを通して全出走車が同じ燃料を使うレギュレーションになっている。

参考までに書いておくとドイツシェルのガソリン。WRC11戦のラリー・ジャパンで使われたガソリンも全量ドイツから運び込まれ、日本での価格はリッター500円少々という具合。50リッター入れれば30,000円近くなってしまう。ガソリンメーカーに聞くと「添加剤でパワーの差が出ます」。考えてみればガソリンという『液体の炭化水素』が持つエネルギー量は、どこのブランドであっても同じようなモノ。いかに上手に燃焼させ、エンジン内部のフリクションを抑えるかの勝負らしい。

先日『モーターレブ』のパワーチェックが終わった後、どれどれと『スーパーパワーブースター』を入れてみたら、なるほどパワー上がりました。スポーツカーから軽自動車まで、いろんなクルマにスーパーパワーブースターを入れパワーチェックをしたら面白いデータが取れると思う。もちろんWRC用のガソリンに添加剤を入れるのは禁止。パワーアップしちゃいますから。