国沢光宏のホットコラム

2020 クルマ&バイク情報

Vol.200「アイドルストップによるバッテリーへの負担について」

最近「アイドルストップ用のバッテリーがダメになり交換しなければならなくなったのだけれど、高い費用に驚いた」という声をよく聞く。今や大半のクルマに標準採用されているアイドルストップ機能ながら、使っている状況によりバッテリーの劣化が激しい。新車で購入して1年半で1万kmしか経っていないのにバッテリー交換になるケースも。

なぜか?アイドルストップすると必ずエンジンを始動しなければならない。その際、少なからぬ電力が必要になってくる。1日に2桁~3桁回数の始動をすると、当然ながらバッテリーに負担が掛かります。もちろんアイドルストップ車には繰り返し始動に強いタイプのバッテリーを使っているのだけれど、それでも条件的に厳しいようだ。

なかでも極端に劣化するのが渋滞路。本来アイドルストップ機能は、カタログ燃費の試験モードで最大限の燃費改善効果を狙ってセッティングされている。大雑把に言えば、基本的に信号待ちを想定してます。けれど渋滞のノロノロ走行に出くわすと、1秒だけ停車しアイドルストップしてすぐ始動みたいなパターンになってしまう。

これを夏場の炎天下で繰り返すと、エンジンルームの中に搭載されているバッテリーは高温になってしまい極端に劣化が進む。都市部で通勤に使われているようなクルマであれば、前述の通り1万km/1年半でバッテリーを交換しなければならないほどになる。ここまで読んで「保証対象にならないのか?」と思うだろう。バッテリーは消耗品扱いのため、保証対象外です。

ちなみにアイドルストップ車用のバッテリーをディーラーで交換すると安くて3万円。高い車種だと6万円くらい。輸入車の中には10万円を突破する車種もあるから厳しい。一方、費用対効果は、燃費を10km/Lだとした場合、走行1万kmあたりのガソリン代は12万円程度。アイドルストップで10%燃費改善したって1万2千円分となる。

なのに1万kmで5万円のバッテリー交換をしたら、むしろ損してしまう。どうしたらいいか?2つのアプローチをすすめておく。まずバッテリーそのものの寿命を延ばすこと。バッテリーだって生産時に二酸化炭素を排出する。資源のムダです。ということで、長持ちさせるため都市部や渋滞を走る際はアイドルストップをしないことを推奨したい。

アイドリングストップOFFスイッチ

アイドリングストップOFFスイッチ

大半の車種にはアイドルストップ機能を解除するボタンが付いていると思う。都市部や渋滞区間を走る時はカットすればOK。カットしたままに出来ればいいのだけれど、カットしたままにならないので、面倒かもしれないけれど、乗る度にカットしよう。

ただ車種によってアイドルストップ機能を常時カットする方法もある。検索サイトで自分の車名とアイドルストップカットを入れると、出来る車種ならヒントが見つかるはず。参考までに書いておくと、ハイブリッド車は大容量バッテリーでエンジン始動を行なっているため、アイドルストップを繰り返しても全く問題無いので気にしないでよい。

アイドルストップ用社外バッテリーで1番人気のカオス

アイドルストップ用社外バッテリーで1番人気のカオス

2つ目の対応策は安価な社外バッテリーに交換すること。大雑把ながら同じアイドルストップ車用バッテリーでも社外バッテリーならディーラーで交換するのと比べて半額くらいで済む。もしバッテリー交換をすることになったらネット通販やカーショップなどで入手すればいい。以上、アイドルストップ付き車のユーザーは覚えておいて頂きたいと思う。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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