国沢光宏のホットコラム

2018 クルマの豆知識

Vol.167「LEDライトのメリットとは?」

ここにきてLEDのヘッドライトが急増中である。一昔前は高級車にしか採用出来ないほど高価なパーツだったものの、今や軽自動車にまで標準装備されることもあるほど。こうなると、現在付いているヘッドライトをLEDヘッドライトに交換すべきか悩む。はたしてLEDのメリットある?

LEDヘッドライトの意義は二つある。一つが消費電力の少なさ。通常の白熱灯(ハロゲンライト)なら50W程度の電力を使う。左右2灯で100W。それがHID(ディスチャージドライト)なら左右2灯で70W。これがLEDだと同30Wにまで下がる。これだけ下がれば発電時の抵抗も少なくなる。

自転車の場合、ライト付けるべく発電機を車輪に押しつけたらペダルをこぐチカラを増やさなければならない。それと同じで最近の燃費良いクルマだと、ヘッドライト点灯時に使う電力すら節約したくなるのだった。夜間照明全体で100W節約出来たなら、夜間の実用燃費をハッキリ改善出来るほど。

2つ目が複数のLED発光体を組み合わせることにより、照射範囲を自由にコントロール出来ること。例えばハイビームにしていても、先行車の部分だけ照度を落とせる。すでに自動車メーカーはこのタイプのLEDを広く採用し始めている。

夜間の暗い道など、対向車へ向くライトをカットしながら、路肩などの歩行者だけ照らすような配光も可能。また、ヘッドライトのオン・オフの切り替えがHIDなどと比べ圧倒的に早い。常時ハイビームにしておき、対向車のライトを検知した瞬間、ロービームに切り換えることも容易。

自動車メーカーからすれば、HIDよりコスト的にも安くなってきた。HIDの場合、ライト本体の他『バラスト』と呼ばれる点火装置が必要になり、スペースを取る上、コストダウンの阻害要因になっている。LEDライトならハロゲンライトと同じくライト本体を組み込むだけでOK。

明るさという点ではどうか? これはもうライトの種別による差というより、製品毎の性能差である。ハロゲンだって暗い製品から明るい製品まで幅広い。LEDライトもアフターマーケットで販売されている製品の中には、HIDばかりかハロゲンより暗い製品も混ざっているので注意したい。

もちろん新車に装着されているLEDライトは全て自動車のメーカーの基準をクリアしているため心配無し。ハロゲンライトからの交換を考えるなら、十分に明るさの検証を行って頂きたい。また、現在HIDを使っているなら、あえてLEDライトに交換する必要は無い。

ちなみにハロゲンライトからLEDライトへの交換は簡単。ライト本体を交換すれば終了する。性能の良いLEDライトなら光が白くなってクールな感じになるし、左右セットで1万5千円以上するようなしっかりしたブランドの製品であればハロゲンより明るくなり長寿命だ。最近はバイク用のLEDライトも出回り始めた。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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