国沢光宏のホットコラム

2013 クルマの豆知識

Vol.112「自転車への注意~増えてきた事故形態~」

ここにきて自転車の交通マナーが悪くなってきた。本来なら学校教育から始めるべきだと思うけれど、待っていられない。今すぐに出来る対策は「運転時に注意する」ということのみ。以下、最近増えてきた自動車と自転車の事故形態を紹介し、対応方法など考えてみたい。

欧米では親が子供に自転車の乗り方を教える

●逆走自転車との衝突
車線の左側を逆走してくる自転車が急に増えた。視界の良い日中や、夜間であってもライトを点けている自転車なら視認出来るものの、悪天候時や夜間の無灯火自転車は本当に見えにくい。対策は三つ。

  1. ヘッドライトを明るいタイプと交換する。これは案外有効。特に年式の古いクルマのヘッドライト、暗いです。バルブだけ交換すればコストも掛からない。
  2. 夜間運転用のメガネを作る。最近メガネ量販店が増え安くなってきた。夜間用として少し度数の高いメガネを用意すると安全。コンタクトの人や「何とか裸眼で運転出来る視力」というような人も、弱い近視用のメガネを作るといいだろう。
  3. 窓ガラスの掃除。油膜が付くとワイパーの効き目は極端に落ちる。油膜を落とし、ワイパーも定期的に交換したい。

●側道から車道に出てきた自転車との衝突
「自転車は歩道を走る」ことが普通だった時代は、気軽に車道へ出てこなかった。しかし今や交差する道から車道にドンドン飛び出してくる。一時停止しないばかりか、安全の確認すら行わない。事故形態として最も増えているという。自転車を認知したら、車道に飛び出してくることを前提に運転しよう。

至る所に自転車専用道路がある

●スマホ操作中の自転車
これまた急増中だ。ほとんど前方を確認していない、と考えた方がいいだろう。自転車は歩道を走っているときなら歩行者への「加害者」になるけれど、対自動車だと「被害者」になってしまう。また、車道と歩道の区別のない道を走行中にフラフラして接触、というケースも多いという。後方から見てスマホ片手に運転しているような自転車は要注意。

●イヤホンを使いながらの運転
スマホの操作中運転と並び増えている。外部からの音の情報がほとんど入ってこないため、クルマの接近すら解らない。その状態で車道を走ったら危険。イヤホンをしている自転車を見たら、いつ横方向に動いても対応できるようにしておくこと。ただし夜間はイヤホンの着装の視認が極めて難しい。警察による指導を期待します。

●並列走行
仲間同士で話をしながら並列で自転車を走らせているケースも目立つ。自転車の乗り方を教えなくなったためなのだろう。1台の自転車だとフラフラしても50cm程度の蛇行で済むも、2台併走した状態だと1m以上蛇行してしまう。これまた余裕を持って避けて通ること。残念ながら我が国はどんな事故形態であっても証拠が無ければ基本的に自動車側の責任になる傾向。ただ自転車側も道交法に違反していれば、全く状況は変わってくる。ということで、事故の状況を証拠として残しておけるドライブレコーダーの装着を強く推奨しておきます。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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