国沢光宏のホットコラム

2013 クルマ&バイク情報

Vol.108「進化する軽自動車」

衝突被害低減ブレーキ

直近の数年間で全乗用車に於ける軽自動車の販売比率が1%づつ上がって来ている。2012年は37%に達し、今年も上昇の気配を見せてます。ちなみに10年前の2002年の販売比率を調べてみたら31.6%。なぜ軽自動車は売れているのだろうか?最新モデルを見ると納得してしまう。

例えばマイナーチェンジしたダイハツ・ムーヴ。ベーシックグレードなら107万円とリーズナブル。それでいて運転席+助手席エアバックやABS、エアコンなど基本的にフル装備。エンジンは最新の制御を採用した超低燃費型で、ミッションも街中から高速巡航まで最大の効率を選ぶCVTだ。

もちろん高速道路の制限速度は普通車と同じ100km/h。なのに高速料金が安い。6万円の追加で横滑り防止装置や、30km/hまでの速度域で稼働する追突事故被害低減ブレーキまで選べる。衝突安全基準だって白ナンバーの普通車と同じ。居住性はコンパクトカーより広いくらいだ。

また、数年前までの軽自動車は1.3リッター級エンジンを搭載するコンパクトカーに実用燃費で負けていたものの、燃費競争の激化により急速に進化。ムーブで29km/Lという素晴らしいJC08燃費となった。アイドリングストップまで標準装備しているため、普通に走って20km/Lに届くほど。

スポーツモデルも出てくるだろう

ここにきてホンダN-ONEのようなカッコ良い(可愛い?)デザインのモデルまで出てきている。軽自動車はパワー不足だと思っている人もいるだろうが、わずか8万円高でパワフルなターボエンジンを選べるのだから驚く。もはや軽自動車というより、少し小さい普通のクルマと言ってよかろう。

軽自動車のライバルは1.3リッター級のエンジンを搭載するコンパクトカーだと思うけれど、自動車税や自賠責保険、任意保険に代表されるランニングコストなど大雑把に言って半額。タイヤ交換費用や、整備代金までコンパクトカーよりリーズナブル。軽自動車が売れるのは当たり前かもしれない。

軽自動車に弱点などないのか。いろいろ考えてみたものの、決定的な弱点を探せなかった。むしろ最近軽自動車用の駐車スペースが増えるなど使い勝手良くなる傾向。私自身、軽自動車に試乗する度に「これで何の不満もないですね」と思う。日本の道路環境には合っている。

今後どうなるだろう。自動車メーカーの動きを見ていると、一段と軽自動車の開発にチカラを入れ始めた感じ。軽自動車に本腰を入れ始めたホンダは、売れ行きを大幅に増やしているし、2013年には日産と三菱自動車の合弁会社から新しい軽自動車が出てくる。軽自動車人気はまだまだ続きそうだ。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

PAGE TOP