国沢光宏のホットコラム

2007 クルマの豆知識

Vol.40「クルマの雑学 ~ネーミング篇~」

普段何気なく接している車名ながら、メーカーにとっては大いに頭を悩ます問題。
すでに登録されている車名が多く(固有名詞の大半は商標として登録されています)、ラテン語や造語も増えてきている。以下、車名に関するウンチクを。

BMWは数字 + アルファベット。最初の数字がボディーのタイプを示し、続く二桁で排気量を表す。最後の『i』は本来インジェクションを示した。

まず高級車。世界レベルで見ると、意外なことにアルファベット+数字という組み合わせが多い。ベンツやBMWなど好例。というかベンツとBMWの場合、今まで車名というのを採用していない。『E320』や『320i』といった具合。

ポルシェも長い間『911』や『928』といった3桁の数字だったものの、最近3桁が一杯になってしまったから大変。やむをえず『カイエン』や『ボクスター』といった車名を付け始めている。その他、ジャガーやプジョーも数字とアルファベット。

日本のメーカーも右へ習えをしたんだと思う。プレミアムブランドに分類されるレクサスやインフィニティ、アキュラは全てアルファベットと数字しか使っていない。レクサスもインフィニティもベンツ風にアルファベット+数字。アキュラが2文字のアルファベットといった具合。

ベンツも一昔前までアルファベット1文字 + 排気量を表す数字だけだったものの、最初はクルマの種類が増えたため、アルファベット二文字というケースも出てきた。

以前ベンツの役員に「どうしてアルファベットと数字の組み合わせにするのか?」と聞いたら「凝った車名を付けるとユーザーが戸惑うかもしれませんね」。ただロールスロイスやベントレーといった“超”高級車になると、車名を付ける傾向になるから興味深い。

大衆車になると車名を付けるケースがグッと増える。VWやオペル、欧州フォード、フィアットなど全て車名。例えばVWの場合、風を好む。『ゴルフ』は『ガルフ』という湾岸に吹く風。
『ジェッタ』もジェット気流だ。ただヨーロッパのメーカーは車種が少ないため、車名を付けるのも比較的容易。

欧州最大のメーカーであるVWを見ると「ゴルフ」や「パサート」など13車種。オペルも「ベクトラ」「アストラ」など12車種しかない。一方、日本の自動車メーカーを見ると驚くほど多く、ホンダで21車種(乗用車)。トヨタに至っては45車種(乗用車)もある。

レガシーは「伝承物」や「遺産」という英語がベース。ただ一部の地域で戦争に関連したマイナスイメージを持たれているため、オーストラリアは「リバティー」と呼ばれている。

一代限りの車種まで合わせれば膨大な数だ。だからこそ車名を付けるのに苦労するのだろう。
だったら同じ車名を続ければいいと思うのだけれど、日本人は世界一新しモノ好きなのかもしれません。
同じ車名を続けていると売れなくなってしまうのだとか。だからこそ「コロナ」や「ローレル」、「ファミリア」といった伝統ある車名が消えていってしまうのだろう。「セドリック」や「グロリア」といった車名を残して欲しいという人も少なくないという。現在売られている車名の由来はどうなっているのか?トヨタ車の『あ行』を見ると、18車種のうち、12車種が造語。最新モデルの『オーリス』の場合「オーラのあるクルマ」という意味合いを持たせた造語だ。たまには自分のクルマの名前の由来を考えてみるのも面白いと思います。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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