国沢光宏のホットコラム

2006 クルマの豆知識

Vol.27「クルマを買うなら・・・」

昔から「クルマを買うなら決算期かボーナス期」と言われているが本当だろうか?
結論から書くと「本当」。以下、説明しよう。

どんな商売にも言えることだろうけれど、ディーラーは年度の初めに販売目標を立てる。この目標、ディーラーだけでなく自動車メーカーにも掲示され、販売奨励金などの額まで決まってしまう。ディーラーの店長さんにとって真剣勝負だ。販売目標は数ヶ月単位で確認されるようなシステムになっており、大半のディーラーが夏のボーナス期の7月。そして前期の締めとなる9月。続いて冬のボーナス期である12月。そして文字通り総決算の3月にチェックポイントを設定している。

結果、3月/7月/9月/12月は、月別の自動車販売台数を見れば突出して多くなるのだ。なかでも一番真剣勝負となるのが3月。ここで目標を達成出来ないと、収益や翌年の販売目標、奨励金に大きな影響が出てしまう。したがって目標を達成するまで、ユーザーにとって魅力的な条件を次々と出してくると考えていい。

さて「魅力的な条件」とは何か?
値引きと、下取りの査定の上乗せ、オプションの値引きである。
もう少し具体的に紹介しよう。

まず値引き。通常の月より値引き額が数万円増えると理解していい。
したがって普通に買っても得。これに加え、目標達成の数台前になると、奨励金をふまえた特別値引きまで飛び出す。

例えば50台売ったら100万円の奨励金が出るとしよう。あと3台で50台、というようなケースは、通常の値引きより10万円上乗せして販売しても、奨励金を貰った方が有利。

こういった値引き、3月の決算期なら3月10日くらいに出やすい。なぜか?

3月一杯で納車するのは、2~3週間前に契約しないと間に合わないからだ。下取り査定の上乗せも、決算期やボーナス期によくある。車種によっては「ライバルからの乗り換えを促す」という趣向で、特定のライバルモデルだけ高く査定してくれることもあるから面白い。下取りの上乗せ査定だけで数万円というケースも!クルマを買うときは皆さん太っ腹になってしまうが、平常時の数万円といえば大きいと思う。

オプションの値引きは、ディーラーによって異なる。ナビゲーションシステムを付けてくれるところや、スタッドレスタイヤ用のホイールなどをサービスしてくれるケースもある。これまた3月の決算期は、突出して良い条件を出してくる傾向。

この三つを合計すると、通常より軽く10万円以上安くなるから嬉しい。

商談のコツは「長引かせない」こと。決算期はセールスマンも多忙。何度商談してもまとまらないユーザーより、金額次第で即決のユーザーを好む。

良い条件さえ出してくれればすぐ決める、と前置きして商談すれば話も早い。いずれにしろゴリゴリと値引きを迫るより「軽く楽しく」が決算期の商談方法。「この条件を出してくれるなら連絡下さい。すぐ契約しますから」などと指し値して帰るのも手。そろそろ乗り換えようかと思っているなら、ぜひディーラーに足を運んでみたらいかがだろうか。

※メーカー、ディーラーによって条件や状況が異なる場合があります

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

PAGE TOP