国沢光宏のホットコラム

2006 ドライビングテクニック

Vol.35「快適な山道ドライブのための心得」

このところ山岳地域の観光ルートで発生する事故が増えてきている。
秋は紅葉を求め、ワインディングロードを走る機会も多いことだろう。そこで今回は山道の安全な走り方について考えてみたい。
典型的な事故のパターンは、
1)風景写真の撮影などで停車しているクルマを避けて対向車線に出た車両が対向車と接触。
2)見通しの悪い駐車場の出入りの際、本線を走ってくる車両と衝突。
3)バイクやクルマが曲がりきれず対向車線にハミ出して接触、という三つである。

まず、1)のパターン。
ドライブで風景の良い場所に出会ったら写真を撮りたくなる人の気持ちは解る。
けれど見通しの悪いカーブの途中などに停めた場合、他の通過車両は対向車線にハミ出して避けなければならない。
カーブの途中に写真のような駐車車両(これは実例。撮影のため駐車したのではありません)があったらどうか?
当然反対車線に出て通行することだろう。その時に向こうから来たのが大型バスやトラックだったなら相当危険な状況になる。
箱根や伊豆半島の道路を走ると、写真の例より狭くて見通しの悪い場所に、一段と酷い停め方をしているクルマも少なくない。
もしこういった車両を見たら、最徐行すること。当然ながら見通しの悪い区間での駐車は絶対の禁じ手。

2)の事故例も多い。山道では見通しの悪いカーブの途中に駐車場があることも。
こういった駐車場に出入りする車両と、走行中の車両との間で事故が発生してしまう。
山道は様々な人が様々な目的で走っている。
ゆっくり走っている人ばかりではないのだ。
一方、駐車場に入ろうとしている人は完全に観光目的。速いスピードでクルマが走ってくることなど考えていない。
先日など見通しの悪いカーブの真ん中でUターンしているドライバーに遭遇した。
ゆっくり走っていたので事無きを得たのだけれど、制限速度の60km/hだったら危なかったと思う。

3)の事故パターンは全く納得しがたい。普通に走っていて対向車が飛び出してくるのだから。
転倒したバイクがそのまま自分の車線に滑ってくるといったケースも珍しくないのだ。
こういった事故、意外なことに過失相殺を科せられることになる。つまりコチラにも責任があるとされてしまうワケ。

どう対応したらいいだろう?
残念ながら決定的に有効な策は無い。強いて言えば今回紹介した事故パターンをしっかり頭に入れておく、ということ。
その上で「危険を察知したなら安全に止まれるような速度」を考えながら走ったらいい。

数少ない対応策が「窓を開けて音を聞く」。クルマはけっこう音を出す。エンジン音だけでなくタイヤの走行音も大きいもの。
少しでも「危険だな」と思う状況なら、面倒かもしれないが窓を開け、音に注意してみて欲しい。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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