国沢光宏のホットコラム

2004 メンテナンス情報

Vol.2「エンジンオイルの交換サイクル」

長い間、オイル交換のサイクルは「3千kmに一度くらいが理想ですけれど、まぁ5千kmくらいでしょう」と言われてきた。しかし最近「1万kmまたは1年の早い方で問題なし」になっている。どうして一気にオイルの交換サイクルが伸びたかというと、輸入車メーカーの『メインテナンス無料サービス』というシステムによるもの。このサービス、購入してから3年間の点検整備を無料でやりましょう、という内容。当然オイル交換も含まれるので、ディーラーサイドとしては適正な走行距離にしたいところ。加えてオイルも貴重な資源。大切に使うべきだと思う。その結果が、今までの常識より大幅に長い交換サイクルになったのだ。

「ただしチョイ乗りやオイルの温度が上がるような高負荷走行をした場合『シビアコンディション』になり、5千kmまたは半年に一度の指定となる」

ベンツやBMWなどオイルの劣化センサーを持つエンジン搭載車は、2万km以上走っても「交換時期」を示すインジケーターが点かないことさえ珍しくない。無料サービスの規定だと点灯したら交換することになっているため、2万km以上そのままということも少なくないそうな。劣化センサーを持たない国産車でも、取り扱い説明書によれば前述の通り1万kmまたは1年が指定(チョイ乗りが多いなど、エンジンに負担の大きい使い方をするなら6千kmまたは半年に一度)。いずれにしろ今までの常識よりはるかに長い寿命を持っていると考えていい。実際、オイル品質は大幅に進化した上、エンジンの工作精度の向上により、オイルの負担も少なくなってきた。

むしろオイルの減りの管理が重要。エンジンによっては走行2千kmあたり1リッター程度減ることもあるから気を付けないといけない。御存知の通りオイルゲージの下端までなら問題なし。しかし大幅にオイル量が減れば冷却も間に合わなくなってしまう。加えて少ないオイルで潤滑しなければならなくなり、一気に劣化していく。焼き付く前にオイル警告灯も点くけれど、その時点でエンジンはダメージを受けているハズ。オイル交換サイクルが伸びても「点検しなくて良い」ということではないことを理解して頂きたい(古いクルマの場合、指定された交換サイクルを守ること。エンジンの設計とオイルは密接な関係があるためだ)。

さて、今までは「オイルの添加剤を入れても3千kmとか5千kmで交換してしまうからもったいない」という声が少なくなかった。確かに3千km毎にオイル交換し、添加剤を入れていたら財政的な負担大。でも1万kmとか1年に一度の交換サイクルなら、それほど大きな出費じゃなくなる。また、『モーターレブ』のような良質の添加剤なら、オイルの減りを少なくしてくれたり、オイル寿命も延ばしてくれるから嬉しい。エンジンパワーや燃費向上はもちろん、クルマのコンディションをキープするためにも有効。コストパフォーマンスからば、非常に優れているんじゃなかろうか。その上でオイル量のチェックを行えばパーフェクトです。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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