国沢光宏のホットコラム

2017 クルマ&バイク情報

Vol.158「最先端の自律自動運転システムとは?」

ここ最近でもっとも「凄い技術ですね!」と思うのが、渋滞時の自律自動運転システムである。最先端のシステムを採用しているボルボ新型XC60の機能を紹介してみたい。素晴らしく役に立つのが渋滞時の運転サポート機能だ。私のようなクルマ好きでも、渋滞だけは楽しくない。むしろ「運転したくない」と思ってしまうほど。

加えて単調な作業が続くため、ミスも起こしやすくなってしまう。渋滞時に発生する追突事故の大半は、気の緩みからくる先行車のブレーキの見落としである。自律自動運転はこういった状況で能力を発揮するから嬉しい。具体的に説明しよう。

まず先行車のいる状況で車速を50km/hにセットした、と思っていただきたい。ボタンを押すことにより先行車の速度に合わせ、自分のクルマもアクセルやブレーキを掛け、車間距離を保ってくれる。そして先行車が停止すると、自分の車両も停止する。ここまではいわゆる「アダプティブクルーズコントロール」という機能で、10年くらい前から実用化されており、自動ブレーキとセットになっていることも多い。

左側の緑のハンドルマーク出てるときはハンドル制御中

それに加えて、新型ボルボXC60のシステムは渋滞時にハンドルまで制御してくれる。ビギナードライバーより正確かつ丁寧なハンドル操作をするため、ほとんどクルマに任せっきりでOKなほど。つまりハンドルに手を触れないでも先行車に追従して走ってくれるのだ。こう書くと「手放し運転は安全運転義務違反では?」と思うかもしれない。

この点には関しては国交省と警察で見解を出しており「ハンドルを的確に操作するシステムの付く車両に限り、いつでも運転者が操作できるようにしていればハンドルを常時握っている必要性は無い」となっている。「いつでも操作できる」ため、手はヒザの上かハンドルの近くになければならない。頭の上で手を組んだりしたら違反になるから注意。

アダプティブクルーズコントロールを使っているときの足の位置と同じ考え方だと思えばよい。ブレーキペダルやアクセルペダルから足を離してもよいが、あぐらをかくなど「すぐペダルを操作できない」状況だと違反になる。ということで、ボルボXC60で渋滞を走るときは、前方の安全確認をしながら、手はヒザの上で待機していればいい。

試してみると驚くほど負担が少なく疲れない。今のところ低い速度域に限られるものの、何の操作も不要。他のレーンから強引に割り込まれるなど、イレギュラーの状況でハンドル操作をしなければならないこともあるが、人間と違い機械はミスをしない。ブレーキの掛け遅れなどで追突するような心配は“ほぼ”無くなる。

前述の通り現在は低い車速域に限られているが(大ざっぱな目安だと20km/h以下)、信頼性の向上と共に介入速度は速くなっていくことだろう。近い将来、60km/hくらいまでなら自律自動運転も出来るようになると思う。このシステムが広く採用されるようになってくると、事故も減り行楽帰りの渋滞も苦にならなくなるかもしれない。

参考までに書いておくと、自律自動ブレーキもアダプティブクルーズコントロールもハンドル操作機能も、現時点で自動車メーカーは確実な稼働を保証していない。あくまで運転の補助であり、事故を起こしたら100%ドライバーの責任だということを認識していただきたいと思う。ドライバーとのダブルチェック機能として使えば素晴らしい能力を発揮する。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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