国沢光宏のホットコラム

2005 クルマの豆知識

Vol.16「車内で出来る花粉症対策」

今までは文字通り「人ごと」だった花粉症だが、ついに発症してしまった。こうなると仕事柄、徹底的に調べたくなる。以下、少しでも役立てばと対応策を考えてみたので御参考に。まず取り除くべき花粉のサイズから。

数年前まで30~40マイクロメーター(1000分の1mm)と言われていたが、最近2マイクロメーター以下の“砕けた花粉”も問題視され始めている様子。こう書いてもサッパリ解らないかもしれない。1ミリを全長10mのクジラだとすれば、花粉の多くは全長30~40cmのカレイ。砕けた花粉だと2cmのメダカです。

こいつを網ですくってやれば、花粉は完全に除去出来るためアレルギー症状を起こさないで済む。クルマに標準装備されつつある花粉フィルターは(輸入車ではポーレンフィルターと呼ばれる)、大雑把に表現するとメダカの半分の1cmくらいからの細かい粒子をキャッチ可能。

つまり花粉なら、どんなに砕けていても除去出来てしまう性能を持つ。したがって花粉フィルター付きのクルマに乗っている限り、花粉症は発症しにくいハズ。しかし使い方を間違っている人が多いようなのだ。ごく一部の新型車(ヴィッツなど)を除き、花粉フィルターは外気導入時しか効かない。花粉症の人に聞くと、皆さん外気を入れたくないのだろう。

内気循環モードを選んでいる傾向。これだとせっかくの花粉フィルターは役に立っていない。

花粉フィルター付きのクルマに乗っているなら、乗り込んでしばらくは外気導入モードとし、花粉の入っていないクリーンなエアを導入することをすすめておく。ただ花粉フィルターを通過してしまうディーゼルの排気ガスも怖い。ディーゼルの排気ガスの中には1mmをクジラとすると“ノミ”のようなサイズの「ナノ粒子」と呼ばれる物質が含まれており、人体に有害なのはこういった微粒子であるという研究結果も出始めている。前方にディーゼル車が走っていない時を見計らい、外気導入するというテクニックを使えばベスト。

ちなみに花粉フィルターは定期的(1年または2万km程度。車種によって違う)に交換しなければならないので注意のこと。花粉フィルター無しのクルマや「どうしても外気導入はイヤ」なら、家庭用の空気清浄機を持ち込むという手もある。4~6畳用の家庭用空気清浄機であれば、あっと言う間に車内の花粉を除去出来てしまう。カー用品屋さんに行き、シガーライター電源から100VのACを作れる『インバーター』を購入すれば使えます。

注意点は1つ。インバーターが供給出来るW数に対し余裕持った消費電力の空気清浄機を選ぶこと。150Wのインバーターなら30Wくらいの空気清浄機にしておくと安心。脱臭機能付きの空気清浄機はタバコの匂いやクルマの匂いまで取れてしまう。匂いでクルマ酔いするようなお子さんにも喜んでもらえるんじゃなかろうか。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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