国沢光宏のホットコラム

2004 メンテナンス情報

Vol.12「冬の遠出対策」

「最近のクルマは冬だからといって特別に手を加えることもない」と言われる。
実際、マイナス10度くらいまでなら標準仕様のまま使えるものの、やっぱり対策をしておくと安心だ。
なかでも注意しなければならないのが、ウインタースポーツ等、普段の環境より格段に寒い場所に行くような場合。
自分で出掛ける時はもちろん、家族がスキーなどに行くようなケースがあればキチンと備えておくことをすすめたい。
以下、箇条書きにしてみるので御参考に。

バッテリー

トラブルで最も多いのは寒冷時の始動不能。
極低温になるとオイルの粘度が上がる一方、バッテリー電圧は下がる。
3シーズン目くらいを迎えたバッテリーで、寒い日にセルモーターの回りが悪くなるようなら交換を考えよう。
バッテリーの寿命をキープさせるため『ボルトブースター』など入れておくのも良い。
クーラントやウィンドウォッシャーの濃度といった液体類のチェックも忘れずに行うこと。
薄いと凍結温度が大幅に高くなる(単なる水だと0度で凍る)ので注意のこと。

滑り止め

年に10回以上雪道を走る人は手間とコスト、安全性全ての点からスタッドレスタイヤをすすめる。
5回以下で「装着の手間は厭わない」というなら、チェーンタイプが経済的。
5~10回という人についちゃ「お好みでどうぞ」。
いずれにしろ冬のドライブの際は降雪を想定し、チェーンの携行をすすめておく。

くもり止め

冬季の雨天/降雪走行ではデフロスト能力が不足する。
外気温0度を下回るあたりから、ほぼ全てのクルマでエアコンを使っても除湿出来なくなってしまう。
2人くらいまでならデフロスト機能によって何とか視界を確保出来るものの、それ以上の人数になると曇りがち。
スプレータイプのくもり止めと、タオルなどを常備しておくと非常に便利。

ディーゼル車

暖かい地域で販売している軽油は低温になると凍る。
例えば東京の軽油なら、マイナス10度を下回るとシャーベット状になってしまう。
寒冷地に行くなら現地で4分の1くらいの燃料残になるようにしておき、当地で売っている軽油を入れること。

スキー場の駐車場で最も多いトラブル…注意

たまにエンジンを掛けたまま仮眠しているクルマを見かける。
この行為、非常に危険だということを認識して欲しい。
とは言えエンジンを切ったら、今度は寒くて寝るどころじゃない。
おすすめは冬季のみ毛布を常備しておく作戦。
1人1枚くらい入れておけば充分寒さに対抗できる。

その他

冬季に限らないが、軍手と牽引用のロープ、ブースターケーブル、万一に備えた1万円
(車検証入れにでも入れておくと良い。予想以上に有り難く思うこと多し!)、
視力の悪い人は使わなくなったようなメガネを予備としてクルマに常備しておくといい。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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