国沢光宏のホットコラム

2013 モーターショー

Vol.118「東京モーターショー2013」

スズキのコンセプトカーはSUV

東京モーターショーが開幕した。開幕前に多くのメディアから「今回のモーターショーの傾向は?」と聞かれる。どうやら皆さんスポーツカーが多い、という方向性にしたいようだ。確かに地震の影響を強く残していた前回の東京モーターショーは、スポーツカーや派手なコンセプトカー無し。

震災直後などモーターショーそのものを中止することまで検討したという。結果、展示されていたのもECOカーばかりになってしまった。前々回の2009年はリーマンショックの直後で元気無し。この回を最後に、モーターショー会場は幕張から、東京ビッグサイトに移ることになる。

そんな過去2回のショーと比較すると賑やかになったけれど、スポーツカーの数で言えば「普通」だと思う。そもそもスポーツカーはモーターショーの主役なので、世界各国どのショーでも多い。むしろ今回のショーを見ると、少なく感じた。初登場はホンダS660とコペンくらい。

なのになぜスポーツカーが多いと言ってるのか?どうやらTVや新聞などはクーペやGTや、SUVまでもスポーツカーだと思っているようなのだ。つまりレクサスクーペや、三菱自動車が3台出展したSUVもスポーツカーになってしまう。クルマ好きとしてはいかんともしがたい。

ダイハツは軽自動車のスポーツカー

私の『スポーツカー』の定義で言えば、昔から「レーシングカーが終わった所からGTカーの始まりまで」となっている。SUVをスポーツカーと言われてしまうと「それは違うでしょう」。そんなこんなで、多くのメディアはスポーツカーが主役と報じているものの、そんなことありません。

もう一つ。「期待感の大きさで今回のショーの印象は大きく違う」ということも特徴だと思う。東京モーターショーを凄く楽しみにしていた人からすれば、新しい技術や凄く魅力的なコンセプトカーが無かった。実際、小粒だったように思う。コンセプトカーや新技術を出さないメーカーすらあったほど。

逆に全く期待していなかった人なら賑やかで楽しいショーだと感じたことだろう。前述の通り過去2回と比べたら明らかに活気もありました。ただ冷静に分析してみると、やっぱり盛り上がり不足だと思う。クルマ作りの夢や「新しい時代が来る」という印象は受けませんでした。

むしろ同じ時期に開催される中国の『広州ショー』や『LAショー』の方がずっと盛り上がっている。以前はフランクフルトやパリサロンと並ぶ世界3大ショーの一角を占めていた東京ながら、今や北京や上海、デトロイト、さらにジュネーブや広州、LAにも規模で抜かれた。

今年の東京を見ていると、出展内容でも厳しい感じ。とはいえモーターショーは楽しい!。12月1日(日)まで開催されているので、お時間あればぜひ足を運んでみたらいかがだろう。次回は世界3大ショーにカムバックする勢いで頑張って欲しい。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

PAGE TOP