5-56 DIY

DIYマイスターが、毎日の暮らしをハッピーにしてくれるオリジナルDIYを伝授する「5-56 DIY」。
第7回は、木工の達人・白井 糺さん。前回まで木で作るおもちゃで楽しませてくれた白井さんが、今回は屋外でも活躍する「キャンプテーブル」を作ります。
コンパクトにたためて手軽にクルマにも積める木製テーブル。お家のリビングや庭、アウトドア先でも役立つアイテムです。

材料準備

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今回の材料は、「1×材」(ワンバイ材)といわれる規格木材を中心としたシンプルな構成です。
実寸は約19mm×89mmの「1×4材」(ワンバイフォー)を天板として、同じ19mm厚で50mm幅の角材を枠組材、脚組材などに用います。
長さは掲載のサイズにDIYショップでカットしてもらうことを前提としていますが、もちろん自分でカットしても大丈夫です。

<材料リスト>
●天板用
900mm長「1×4材」5枚
●枠組用
19mm×50mm×860mm 2枚
19mm×50mm×390mm 2枚
●脚組用
19mm×50mm×450mm 6枚(制作過程で適正な長さにカットします。)
●脚固定用
19mm×50mm×860mm 1枚
●皿頭木ネジ
小・4mm×41mm 適量
大・4.2mm×51mm 適量
●脚軸固定用ネジ類
なべ頭ネジ 8mm×60mm 4本
●内径8mmナット4個
●内径8.5mmワッシャー 適量

白井さんのワンポイント

「今回は、キャンプなどで使いやすく、クルマにも積み込みやすいサイズで作っていますが、作り方が理解できたら、用途に合わせて好みのサイズで作ってもいいと思います。」

枠組の製作

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まず、天板を乗せる枠組を作ります。この部分は上に天板が乗るとともに、足組のベースともなる部分。つまりキャンプテーブルのベースとなる部分です。
とはいえ作業はそれほど難しくありません。枠組用の19mm×50mm×860mm 2枚と19mm×50mm×390mm 2枚を用意。860mmの長い板で390mmの短い板を挟む形で枠組みを作ります。
加工は主に860mm板になります。860mm板2枚の両端に19mmの板幅ラインを引き、その中間8mm付近の2カ所にネジ込み用のガイド穴を2mm径のドリルで通します。

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次に同じく860mm板の両端に折りたたみ脚用のネジ穴をあけます。板端から47mm、板幅の中間(25mm位置)に8.5mmのドリル穴を通します。これも860mm板2枚の両端、計4カ所にあけます。
加工が終わったら、短い方の390mm板の板頭を860mm板に通したガイド穴に合わせるように組み合わせます。390mm板の接合面に木工用接着剤(耐水性)を塗り、ガイド穴を通して51mmの長い木ネジをネジ込み固定します。
2枚の390mm板を2枚の86mm板で挟むように箱形に組み上げて枠組のできあがりです。

白井さんのワンポイント

「皿頭ネジのネジ込みは、ネジ頭の平の部分が板と面一になるようにしましょう。ネジ込みが足りないと飛び出たネジ頭が引っかかってしまいますし、ネジ込み過ぎると窪みに水が溜まってサビやすくなります。」

折りたたみ脚の加工

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ここで、折りたたみ脚の回転部分の加工をします。脚組用の19mm×50mm×450mm板から4枚を使います。
各板の片方の板端から25mmの位置を中心として板端に向かって半円を描きます。さらに、その中心位置に8.5mmのドリル穴を通します。

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板端の半円に沿ってカットするのですが、半円の外側を縁に沿うようにノコギリでカットし、その後、電動サンダーで半円のラインに沿うように削っていきます。

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キレイに削れたら、枠組の8.5mm穴と重ねて8mmのなべ頭ネジを通して仮組みをして、回転の感じを確認しましょう。
脚板の長さを調節していませんので、この段階では折りたたむと重なってしまいますが、後ほどカットしますので今はこのままで進めます。

白井さんのワンポイント

「テーブルのサイズを変えて作る場合には、余り木などに軸穴をあけて回転軸の位置を確かめながら作業をするといいでしょう。脚は天板に対して垂直になるのではなく、すこし開きぎみになる方が安定します。」

天板の取付

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天板用の1×4材の角を滑らかにするために面取りをしておきます。面取りは電動サンダーでやれば簡単ですが、天板などはカンナをかけた方が滑らかに美しく仕上がります。

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天板を1枚取りだし両端から20mmの位置で側面にラインを引きます。
先ほど製作した枠組の、短辺の中心から左右各々45mmの位置に印を付けます。これを枠組の両方の短辺に施します。20mmのラインを引いた天板を、印に合わせて枠組の中心に置きます。長辺の飛び出しは、天板の両端から引いた20mmの側面ラインを枠組に合わせます。

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合わせを確認したら、天板の枠組に当たる部分にラインを引き、木ネジガイド穴を通し、木工用接着剤を塗ってから、木ネジを使って天板を枠組に固定します。天板の固定には、短めの41mmの木ネジを使います。

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中央の天板が固定されたら、それをガイドにして左右に他の天板を配置します。その際に、天板と天板の間に5mm厚ほどの捨材などを挟むと、簡単にキレイに間隔が取れます。

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左右の各板の位置が決まったら、中央の天板に合わせて木ネジのガイドラインを引き、木工用接着剤と木ネジで固定していきます。枠組の角に当たる部分には、枠組を作る時の木ネジが通っているので、干渉しないようにネジ位置をずらして固定します。一番外側の天板は長辺の中央付近にも固定用の木ネジを通しておきます。

白井さんのワンポイント

「板端の切り口を見ると年輪があります。板は年輪と逆方向に反りやすい性質がありますので、天板などは年輪の外側(山側)を下にして作ると反りが出にくくなります。」

折りたたみ脚の製作

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再び折りたたみ脚を枠組に取り付けます。天板を取り付けた枠組の長辺の中心位置に印を付け、そこを目印にして折りたたみ脚の長さを決めます。
枠組の長辺の中心に合わせて、折りたたみ脚に目印のラインを引きます。長辺の対向する折りたたみ脚にも同様にラインを引きます。

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2つの折りたたみ脚を立てて、両脚のラインの外側を結ぶように長い棒などをクランプで固定します。この棒で結ばれたラインが、折りたたみ脚のカットラインになります。棒に合わせてラインを引きカットします。カットする際は、折りたたみ脚を枠組からはずした方がやりやすいかもしれません。
反対側も、同様にしてラインを引きカットします。
最終的に折りたたみ脚を枠組に固定する時は、折りたたみ脚を挟むように2枚のワッシャーを使うと動きが良くネジが緩みづらくなります。

白井さんのワンポイント

「丁寧に作業をしても、脚の長さが合わずガタガタすることがあると思いますが、ぐらつく場合は電動サンダーなどで脚の接地面を削って調整しましょう。」

脚固定部の製作

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折りたたみ脚が完成したら脚の固定部を作ります。まず、脚を横につなぐ梁棒を作ります。
脚を立てて作業をしやすいようにテープで固定した後、各脚の天板面から200mmのところに印を付けて、接地面カットの時と同様に印を結ぶように棒を渡しラインを引きます。この時もクランプを使用した方が作業しやすいかもしれません。

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次に、直角定規などを使い、天板面から垂直に縦ラインを脚に引きます。200mm位置に引いた横のラインを起点に50mm上に引き、50mm地点が脚の側面と交差するように縦ラインの位置を決めます。
この縦横のラインが梁棒の位置となります。同様にして各々の脚に梁棒の位置を描きます。

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脚組用の19mm×50mm×450mmの残り2枚を使って梁棒を作ります。折りたたみ脚を折りたたみ、脚間に梁棒材を当てて現物合わせで梁棒の長さを決めます。長さが決まったらラインを引いてノコギリでカットします。

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切り出した梁棒の中央に“相欠きつぎ”用の切り欠きを作ります。“相欠きつぎ”は、お互いの材料の厚みの一部を欠き取って組み合わせる接合方法です。
梁棒の中心から左右各々10mmの位置に印を付け、そこから20mmラインを引き終点同士をラインで結びます。側面からの縦ラインに沿ってノコギリを引き、終点の横ラインに沿ってノミで削りだしています。梁棒の一辺の側面に20mm×20mmの正方形の切り欠きができます。同様にもう1枚の梁棒にも切り欠きを作ります。

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脚に描いた位置に梁棒をあわせて、木工用接着剤と長めの51mmの木ネジで梁棒と脚を固定します。
梁棒と梁棒の間隔を測り、19mm×50mm×860mmの脚固定用棒に梁棒と同様の20mm×20mmの切り欠きを作り、梁棒の切り欠きと合わせればキャンプテーブルのできあがりです。

白井さんのワンポイント

「脚の部分は、脚の角度や回転部の占め具合などで、サイズが微妙に変わってきますので、設計図でサイズを決めるよりも、現物合わせでカットしていく方が作りやすいと思います。折りたたみ脚は少し動きが重い方が使う時に安定していいと思います。」

使い方いろいろ

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折りたためばクルマの荷台にも入れやすく持ち運びにも便利に使えるキャンプテーブルですが、リビングのミニテーブルに使ったり、庭に置いてガーデニングの小物として使うのにもいいかもしれません。

白井さんのワンポイント

「作り方を覚えたら、いろんなサイズのテーブルを作って、いろいろな用途で活用してみましょう。」

後片付け

白井さんのワンポイント

「今回は、面取りにカンナを使いました。カンナは使いづらいという方がいますが、慣れれば仕上がりもキレイになるので廃材などで練習してみましょう。カンナは刃を取りはずせますから、片付ける前に刃をはずしてKURE 5-56 でキレイにしておきましょう。」

今回の制作には、こんな道具を使いました。

  • インパクトドライバー
  • 電動ドリル
  • 電動サンダー
  • カンナ
  • ノコギリ
  • ノミ/金槌
  • 耐水木工用接着剤
  • 各種定規
  • クランプ
  • ドライバー/レンチ
  • 筆記具、その他

Profile

白井 糺

木工家 白井 糺
1947年東京都大田区生まれ
実家は下町の町工場で木型屋を営む。
中学卒業後すぐに木工職人として弟子入りしたが、
20代の頃、バイク好きが高じてレース活動に没頭。
世田谷区馬事公苑にバイクショップを開き独立。
その後、木工職人として復活。木工歴は約35年。
現在は木工やDIYの普及に力を注ぐ。
3.11以降、木工を軸とした被災地支援活動を継続して行っている。

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