国沢光宏のホットコラム

Vol.58 パリ国際モーターショー開催

ホンダのインサイト

2008年は隔年開催の東京モーターショー&フランクフルトショーが休みの年なので、どこのメーカーもパリサロンに注力しているようだ。加えて折しもの原油高騰と環境問題の高まりを受け、新しい技術を発表する絶好の機会。実際、話題の出展車を見るとECO一色というイメージ。

なかでも世界中から取材に訪れたメディアを賑わしたのは環境技術を得意とする日本勢。主役級の扱いなのが、リッター20kmという低燃費に加え、200万円前後というリーズナブルな価格を打ち出してきた『ホンダ・インサイト』(プリウスとほぼ同じボディサイズのハイブリッド車)である。

ここにきてヨーロッパは軽油の価格が看過出来ないほど高くなった(ガソリンより10%以上高価)。ディーゼル車の販売シェア急増により軽油は供給不足になりつつあるのだ。加えて厳しい排気ガス対策をクリアするため黒煙フィルターなどを装着しなければならず、車両価格も値上げ一方。ガソリンを燃料として使いながら燃費良く安価なインサイトは、今のヨーロッパで最も望まれるモデルと言ってよい。ちなみに2009年早々に日本で先行発表されるとのこと。発売前から生産が追いつかなくなるとウワサされている。

その他、BMWやルノー、プジョー&シトロエングループなどヨーロッパ勢も大きな排気量のエンジンやディーゼルとモーターを組み合わせたハイブリッド車を出展しているものの、実用燃費や価格競争力などの点で日本勢には届いていない。

日産のEV

ハイブリッドと同じくらい人気を集めていたのがEV(電気自動車)。2010年に発売するとアナウンスされた日産の『ニューヴ』は全長3mの3人乗りで、トヨタiQをEVにしたようなコンセプト。10分少々で急速充電可能なリチウムイオン電池を搭載し、100km以上の航続距離を実現している。

日産のEVはイスラエル政府やフランス政府が強力にバックアップをしているという。潤沢な開発予算も投入されているそうな。大いに期待していい。ちなみに太陽光発電パネルの大幅なコストダウンが2010年あたりから始まるというので、エネルギーを自前で賄える可能性も出てきた。

もちろん開発で先行している三菱自動車のiMiEVや、スバルのR1eも、実用間近な段階にあるEVということで注目を浴びている。ヨーロッパ勢はウリエーズというEVメーカーと、ミシュランタイヤ、ドコモのような通信サービス会社がタッグを組んだコンセプトカーもデビュー。伝統的に絶対的な性能を重視してきたヨーロッパすら、今や省燃費技術や環境対応技術が最も高い優先順位となったことに驚かされる。絶対的な動力性能やハンドリングが要求される時代ではなくなった、ということなんだろう。