国沢光宏のホットコラム

Vol.51 進化するクルマの安全性能

ミリ派レーダーは荒天でも前方を常時探知可能

馬に乗ったことのある人なら御存知の通り、前方に障害物があると、いくら前進するよう指示しても、馬は勝手に速度を落としたり止まったりしてしまう。自動車も同じ機能を持たせれば事故は大幅に減るだろう。
こんな技術、一昔前まで夢物語だった。けれどそう遠くない将来、普及する可能性が出てきたから面白い。

現在すでに単純な前方監視システムなら実現している。いわゆる「レーダー」で自動車の前方や後方を常時確認し、危険を察知したらドライバーに警告を与えたり、ブレーキで自動的に速度を落としたり、衝撃に備えシートベルトの緩みを巻き取ったりするシステムをトヨタやホンダ、日産、マツダなどが完成させ、すでに市販車に採用済み。
例えばホンダのシステムは、前方監視レーダーで追突の危険性を察知するや、第一段階としてドライバーに「音とランプ」で警告。それでも居眠り運転などにより危険が去らない場合、第二段階でシートベルトを3回ほど巻き上げ、ドライバーを「揺り動かす」。それでもダメなら最終段階としてキツい自動ブレーキを掛けながらシートベルトの緩みを取って衝撃に備えるというもの。
新しいクラウンに装備された「脇見判断機能」も興味深い。前方レーダーの情報により、危険が迫った段階でドライバーの前に備え付けられているカメラはドライバーの目線を検知。脇見や居眠りをしていたら、警告してくれる。
これらのシステム、絶大なる効果を持っており、大半の追突事故は防げるそうな。

しかし大きな弱点を持つ。荒天時にも使える航空機と同じタイプの『ミリ波レーダー』はコスト的に高く、結果的にかなり高額になってしまう。
トヨタ車など数十万円のオプションという設定。

スバルのCCDカメラを使ったADAです

しかし技術は進む。2007年の東京モーターショーでスバルは安価でシンプルな前方監視システムを発表した。「目」の役割を果たすCCDカメラ(モノクロ画像)を前方に二つセット。これで障害物との距離や危険を判定しようというもの。
CCDカメラは「目」と同じく、レーダーよりはるかに多くの情報を得られる。
距離の判定も容易。その気になれば車両の直前の障害物まで判定可能だという。
つまり車体の前に人や障害物があれば、アクセルを踏んでも前に動かないような制御まで出来てしまう。

視界の悪い時に使えないという弱点を持つけれど、霧の中でも移動しなければならない航空機や船舶と違い、クルマは前方が見えなければ運転しない。
ドライバーの目の補助で十分だろう。

何より嬉しいのが価格。まだ価格を発表していないものの(2008年の夏からレガシィに搭載)、ミリ波レーダーより圧倒的に安価な白黒のCCDカメラとあり、どうやら初期のABSやエアバッグくらいで設定が出来るらしい。スバルに聞いてみたら「やがて市販車全てに標準装着出来るようにしたいと思っています」。
CCDカメラの可能性は大。一時停止標識や赤信号などまで視認出来るため、警察と国交省が判定基準を確定してくれれば、速度を落とさないまま接近したような時に警告音を出したり、ブレーキ制御まで入れられる。
多くの事故を未然に防ぐことが可能な時代は近いと思う。