国沢光宏のホットコラム

Vol.123 ターボチャージャーとスーパーチャージャーの違い

2リッター4気筒ターボを搭載するジャガーXJ
2リッター4気筒ターボを搭載するジャガーXJ

 いわゆるダウンサイジング過給と呼ばれる、小排気量エンジンが、世界の流れになっている。本来なら3リッター級のV6エンジンを搭載するクルマに小型軽量の1.6リッター過給エンジンを搭載したり、ジャガーXJのような5リッターV8という巨大なエンジンの代わりに、2リッター4気筒過給エンジンを搭載するというもの。

 基本的な排気量を小さくし、必要なときだけ過給してパワーを稼ぐ。加えてエンジンの小型軽量化により、車重の大幅な軽減も可能。さらにエンジンルームのスペースに空きが出来るため、衝突事故の時の「潰れ代」を確保出来るというメリットも大きい。万一の事故の際の、ダメージが少なくて済む。

 ターボ技術を得意とする日本勢ながら、ダウンサイジングで出遅れてしまう。日本の自動車メーカーの経営陣は「過給エンジン=燃費が悪い」と思い込んでしまっていたからだ。しかしやっと新世代のダウンサイジング過給エンジンが出てきた。第一陣は3.5リッター級V6の代替になるトヨタの2リッター4気筒ターボです。

 今後も続々出てきそうな雰囲気。ここで興味深いのが、同じ過給でもターボとスーパーチャージャー両方あること。どう違うのだろう? 御存知の通りターボは排気ガスでタービン回し空気を圧縮する。スーパーチャージャーの場合、エンジンでコンプレッサーを稼働させ空気の圧縮を行う。それぞれ弱点と長所があります。

スーパーチャージャー付きノートはゆっくり走れば燃費良い
スーパーチャージャー付きノートはゆっくり走れば
燃費良い

 ターボは排気ガスでタービンを回すためエネルギーロス少ない反面、アクセルを開けてからパワー出るまで1秒以上のタイムラグがある。ここでアクセル踏み過ぎてしまうため、燃費悪化を招く。スーパーチャージャーの場合、タイムラグ無い反面、エンジンパワーでコンプレッサーを稼働させるためエネルギーロスが出てしまう。

 ダウンサイジング過給の先駆者となったVWの初期型TSIエンジンを見ると、アクセルを踏んだ直後はスーパーチャージャーで過給してトルクを稼ぎ、2秒後くらいからターボ過給にバトンタッチしている。これだとターボの長所とスーパーチャージャーの長所を両方使えるという寸法。ただしターボとスーパーチャージャーという高額の部品を2つ使うため、コスト的に厳しくなってきます。

 そこで最近は、どちらか単独で使うケースが増えてきた。日産ノートに搭載されているエンジンは、1.2リッター3気筒のスーパーチャージャーだ。アクセルを開けないような普通の走りだとスーパーチャージャーを使わず1.2リッターで燃費を稼ぎ、パワーが必要になった時だけ稼働させるというもの。1.5リッターエンジンより燃費良い。

 ダウンサイジングの始祖であるVWは、スーパーチャージャーを使わずターボだけにしている。この方がコストパフォーマンスで有利だという。今後どうなる?流れを見ていると、実用車はターボ過給優勢になっていくと思う。スポーツカーなどレスポンス重視のクルマで燃費も稼ぎたい、という時にスーパーチャージャーが使われるだろう。